首、肩こりに関する症例
改善してもすぐ元にもどる左肩コリ
34歳女性 会社員
日常生活や仕事には支障はないが、最近、左肩だけコリ感が強い。整体院、接骨院などに通ってみたが、揉んでもらっても次の日には元の状態に戻ってしまう。「こんなものなのかな」と自分ではあまり気にしてはいない。ちょっと症状が強くなってきたら、再びマッサージを受けるという生活を送ってきた。カイロプラクティックは初めてということで紹介を受けて来院された。
【コメント】
この方の場合、みかけの肩関節の可動域は左右ほぼ同じ。どちらも正常と思われました。しかし、一般的に言われる「腕の動き」は上腕骨(腕の骨)と肩甲骨の組み合わせ(正確には鎖骨も含まれます)です。各々をチェックすると興味深い結果が・・・。
肩コリを感じている上腕骨の方が可動性が優れていました。その反面、肩甲骨の動きは非常に制限されています。もっと正確に言うならば、上腕骨の動きは正常範囲を超えて「ハイパーモビリティー」の状態でした。つまり「動き過ぎる」状態です。話を詳しく聞いてみると、子供の頃から左腕は柔軟性が高かったそうです。この女性は、今まで、制限のある肩甲骨の動きを、上腕骨の「動き過ぎ」でカバーしていたのかもしれません。姿勢的に見ても、肩コリを引き起こしそうな悪姿勢でもなく、イスに座る姿勢も問題なし。仕事場の環境もパソコンの位置等に注意を払っているようです。アクティベーター・メソッドでの下肢長検査で神経エラーをチェックしても、むしろ、健側(肩コリを感じていない側)の方が
神経エラーを拾える状態でした。
【施術一回目】
アクティベーターにて全身を矯正。そして上肢、指先までの神経エラーを全て検査して矯正、肩甲骨の動きを改善させる関節のモビリゼーションを行いました。『肩コリを改善する=マッサージを受ける』という認識を持たれていたので その認識を変えて頂くために、あえて筋肉にはアプローチしないことを了承頂き、初回の施術終了。そして、最後に腕の使い方についての「意識を変えて」頂きました。腕を動かす時は可能な限り、背中にある肩甲骨を意識して腕と連動して動かすようにアドバイスしました。
【施術二回目】
左肩のコリ感は消失。しかし、左の背中が非常に重だるい感じがする。左肩甲骨の動きをチェックすると、前回より可動性が改善していました。おそらく、アドバイスをしっかり実践してくれたのだと思います。使い慣れていない肩甲骨を意識的に使用したために、現在の症状が出現した可能性があることを説明。肩のコリ感は消失していたので、納得して頂き、施術を開始。アクティベーターでの全身矯正の後、左の肩甲骨を集中的にあらゆる方向にストレスをかけて神経エラーを除去。そして、左肩甲骨のモビリゼーションを行い終了。
【施術三回目】
まだ背中の重だるさが少し残っているが、今まで感じていた肩コリ感は完全に消失していました。前回と同じ施術を行い、残っていた背中の重だるさは半分以下に軽減。メンテナンスに移行することしました。
今回は、
①神経エラーの矯正
②関節のモビリゼーション
③ご自身のカラダの使い方の意識チェンジ
上記の施術で、すぐ元に戻ってしまう肩コリが改善しました。おそらく、制限が強い肩甲骨の分まで上腕骨の動きがカバーしていたのかもしれません。この関係を修復するのは施術者では限界があります。クライアントさん自身のアクティブ・ケアが必要となります。クライアントさんとの共同作業で改善できた症例だと思います。
ご本人は
「こんなのが(アクティベーター)効くんですね」と
コメントされていました。
長期間にわたる慢性肩コリ
38歳女性 会社員
20年来の肩コリに悩んでいる。10年以上前に病院でX線検査を受ける。撮影結果から背骨が曲がっていると告げられた。また接骨院で治療を受けた際にも背骨が曲がっていると告げられ、肩コリの原因は背骨の歪みにあると認識。時々、頭痛も起きるの心配になってきた。
【コメント】
この方の場合、確かに背骨の左右への変位はみられますが、背中側から前方に向かって背骨を押圧したときの柔軟性・スプリング感は十分確保されていたと思います。アクティベーターでの検査では、左右へ歪んでいる箇所に陽性反応が検知されなかったため、その部位での神経系障害の可能性は低いように思われます。気になったのは脊柱よりも、肋骨でした。右側の中部肋骨群の左に比べて隆起、そして右第5肋骨の肋横突関節(肋骨と背骨の接合関節部)だけが、他のどの関節よりも動きが制限されている状態でした。押圧すると、ご本人も「そこだけが動いてない感じがする」と自覚できる程です。
施術は、右第5肋骨、左頚椎、肩甲胸郭関節といって、肩甲骨と胸郭の間の接合部(左右)へ行いました。矯正後、ご本人は「右の背中が平たくなった感じがする」と感想を述べられていました。背中の隆起そのものに変化は生じませんが、関節が動かされることによって、その関節からの位置感覚が正常に脳に伝えられるようになり、そのように感じられたのだと考えられます。背中の隆起は、周辺の体内環境が正常に近づくにつれて、自然と改善されていくと思われます。
頭痛に関しては、週末には発症せず、平日の会社勤めの間のとのことでしたので、緊張性の頭痛と推測して、頚部、後頭部の筋群への緩和操作を施しました。
仕事の疲れが溜まっているのか、右の首が非常に重だるい
30歳女性 主婦
右頚部の重だるさ。肩コリは感じていない。仕事が忙しかったこともあり、疲れが溜まってしまったのが原因と考えられていました。
【コメント】
最初にアクティベータ・メソッドを行い、神経系を整えました。施術前のスクリーニングで、頚部右回旋、腰部右回旋(仰向けで両膝立てた状態で腰から下を捻じる)に若干の制限を感じていたが、施術後、腰部の右回旋制限は変化なし、頚部右回旋制限は解消。このことから腰部に関しては神経系の問題とは別に、筋膜由来の問題があると推測し徒手治療に移行しました。この方の場合、「教科書通り」のライン、右頚部→左肩甲骨間部→左前鋸筋(体側にある筋)→左外腹斜筋(腹筋群)というラインに沿って、筋膜癒着と筋疲労していました。おそらく腰部の右回旋が制限されていたのは左外腹斜筋の筋膜弾力性の低下が原因かと思われます。このラインに沿って筋膜リリースを行い、頚部と腰部の関節機能不全部に矯正を加えました。
「教科書通り」とは、予想通りの連結で筋膜になんらかの問題が生じているということで、ある意味、「正しい疲れ方」とも言えるでしょう。
施術後、首から下のどこから「負担」が上ってきているのか理解して頂き、そのケア(ストレッチ等)によって首への負担が減少していくことを説明いたしました。